絶景の天空ハイキング!奈良県・大台ヶ原おすすめ登山ルートは?アクセスも解説
奈良県の大台ヶ原は、関西でも人気のハイキングコース。紅葉や新緑の名所でも知られ、断崖絶壁の「大蛇ぐら(だいじゃぐら)」など、見どころが多数!大台ヶ原ドライブウェイから気軽にアクセスでき、山頂付近には24時間無料の駐車場も整備。登山ルートは「西大台」「東大台」に大きく分かれ、子供や初心者におすすめの登山ルートが東大台(中道)コース。中道コースにプラスして、シオカラ谷を巡る東大台コースもおすすめです。
初心者、子供もおすすめ!東大台コース
大台ヶ原(山)は、奈良県と三重県の境、日出ヶ岳(標高1695メートル)を最高峰とする台地状の山地のこと。日本百名山にも選定され、屋久島と並んで日本で最も雨が多く降るエリアのひとつ。
天気も気温も変わりやすいのですが、晴れた日の景色は圧巻の美しさ(写真は大蛇ぐら)。珍しい植物が多く、自然の瑞々しい生命力に満ち、神秘的なパワースポット。新緑や紅葉の季節には多くの登山者や観光客が訪れます。
大台ヶ原は、環境省が指定した国立公園。山全体が特別保護地区にも指定されています。山頂付近には、約200台収容の駐車場(標高約1570メートル)があり、24時間利用(冬季は閉鎖)でき、料金は無料。星空もきれいなので、車中泊も人気。
5月の連休や夏休み、秋の紅葉時期は早朝から混雑が激しく、自然環境に配慮するためにも、公共交通機関(近鉄大和上市駅から奈良交通の路線バス)のアクセスがおすすめ。
大台ヶ原の登山ルートは、「西大台」「東大台」に大きく分かれ、西大台コースは沢渡り(写真)などもあり、上級者向きのコース。神秘的な原生林の秘境ムードを楽しめますが、1日の入山者数が決められ、事前の手続きやレクチャーを受ける必要があります。
子供連れのご家族や初心者にもおすすめの登山ルートが「東大台(中道)コース」。人気の「大蛇ぐら」や、日出ヶ岳(ひでがだけ)など、開放感あふれる展望を手軽に楽しむことができます。
※コースの難易度や時間は、天候や気温によっても変わります。大台ヶ原ビジターセンターで地図を入手し、天気予報や登山コースの地図などを参考に、登山経験や体力に合わせ、雨具や防寒具などの服装や食料、水などの持ち物など、十分な登山設備とトレーニングを積んだたうえで登山しましょう。
「東大台(中道)コース」は、登山口となる駐車場(大台ヶ原ビジターセンターの横)から最高峰の日出ヶ岳(写真)まで、登りの高低差が100メートルほどしかなく、登山道が整備され、案内地図も多く、初心者や子供も挑戦しやすい日帰りコースです。
「東大台コース」のまわり方は、駐車場から日出ヶ岳へと向かう右まわりがおすすめ。最初に最高峰へと登り、アップダウンはあるものの、全体的に下りが多いコースだからです。
大台ヶ原ビジターセンターの横に、「東大台コース」の登山口があり、スタート地点の近くに「中道」と呼ばれる初心者向きのルートもあります。いずれのコースも、途中にトイレがないので、駐車場のトイレで済ませておきましょう。
心地よい森林浴を楽しみながらアップダウンの少ない登山道を進むと、急に視界が開け、展望台デッキへ。さらに木道の階段をのぼると、三重県の最高峰、日出ヶ岳山頂に到着。弥山、八経ヶ岳、行者還岳など、大峰連山のパノラマビューが広がり、紅葉時期は特に美しい。
日出ヶ岳山頂の展望台からは、熊野灘の海を眺めることができ、天気が良くて条件がそろえば、270キロメートル離れた富士山が見えることも。
神秘的!絶景の天空ハイキング
続いて、日出ヶ岳から正木峠へ。正木峠からの眺望も素晴らしい。次の正木ヶ原へのなだらかな下りは、ぜいたくな天空ハイキングを楽しめる絶景スポット。写真は下りの木道の途中で、正木峠(写真背後)を振り返って撮影したもの。
ミヤコザサに覆われた緑のカーペットに、立ち枯れしたトウヒ(マツ科の針葉樹)が独特の風景をつくり出し、こちらも大台ヶ原を代表する神秘スポットとなっています。
さきほどの木道を右に進むと、ご覧のような絶景が広がります。正面に見えるのは尾鷲(おわせ)湾。爽快な天空ハイキングが続きます。
正木ヶ原では、数多くのトウヒの立ち枯れ(写真)が見られます。白骨化した針葉樹はちょっと不気味ながらも、神秘的で神聖な雰囲気が漂います。
最大の見どころ!「大蛇ぐら」へ
正木ヶ原周辺は、かつては豊かな森だったのですが、伊勢湾台風によって多くの木が倒され、陽光が届くようになった地面にササが繁殖。鹿が増え、トウヒの木の皮まで食べつくし、森が失われました。
正木ヶ原を進み、中道と合流する「尾鷲辻」へ。続いて魔物を封じこめたという伝説の牛石や、神武天皇像がある「牛石ヶ原」に到着。ブナやミズナラの森林を抜け、いよいよ最大の絶景ポイント「大蛇ぐら」に着きます。
写真が、「大蛇ぐら」。断崖絶壁に突き出した展望台では、空を飛ぶ龍の背に乗ったようなスリルを味わうことができます。
雄大にそびえる大峰山脈を背景に、頭をあげた大蛇のような巨大な岩「大蛇ぐら(写真)」が突き出し、紅葉の時期には渓谷が鮮やかな錦色に染まります。日本の滝百選にも選定された「中の滝」も断崖に見えます。
※展望台の岩には、安全のための鎖が設けられていますが、滑落や転落事故もあるので十分に注意して写真撮影を楽しみましょう。
「東大台(中道)コース」では、「大蛇ぐら」から「尾鷲辻」へ引き返し、駐車場(大台ヶ原ビジターセンター)まで戻ります。
体力に余裕があれば、「大蛇ぐら」から、「シオカラ谷」へと向かいましょう。途中には、“シャクナゲ坂”があり、下り坂が続きます。ここは、シャクナゲの群生地。「ツクシシャクナゲ」と、その変種「ホンシャクナゲ」が見られます。シャクナゲの見ごろは例年、5月下旬から1週間ほど。
【東大台(中道)コース:距離約9キロメートル、コースタイム約4時間】
大台ヶ原駐車場→(2キロ、約40分)→日出ヶ岳→(1キロ、約40分)→正木ヶ原→(0.4キロ、約10分)→尾鷲辻→(0.9キロ、約20分)→牛石ヶ原→(0.7キロ、約15分)→大蛇ぐら→(1.6キロ、約35分)→尾鷲辻(中道)→(2キロ、約40分)→大台ヶ原駐車場
紅葉の見ごろは10月中旬~下旬
「シオカラ谷」は、東大台コースで、最も標高が低い場所(約1420メートル)。透明感あふれる清流が心地よい音を立てて流れています。シオカラ谷の吊り橋(写真右上)からは見事な渓谷美が広がり、吊り橋を過ぎれば登り坂。ここから、ゴールの駐車場まで高低差約150メートルをイッキに登ります。
【東大台コース:距離約9キロメートル、コースタイム約4時間】
大台ヶ原駐車場→(2キロ、約40分)→日出ヶ岳→(1キロ、約40分)→正木ヶ原→(0.4キロ、約10分)→尾鷲辻→(0.9キロ、約20分)→牛石ヶ原→(0.7キロ、約15分)→大蛇ぐら→(2キロ、約40分)→シオカラ谷→(1.4キロ、約40分)→大台ヶ原駐車場
紅葉の時期はひときわ美しいので、ぜひ紅葉ハイキングも楽しんでください。例年10月初旬から色づき、10中旬~10月下旬に紅葉の見ごろを迎えます。
日本屈指の秘境、大台ヶ原。ブナやミズナラの大原生林。やわらかな澄んだ野鳥のさえずりが響きます。日常から解放され、かすかな水の音や空気の違いにも敏感になり、光や風の輪郭がいつもよりもくっきりと明るく澄んで見えます。
紅葉だけでなく、シャクナゲや新緑、星空や避暑、霧氷など、春夏秋冬のどの季節も魅力的。駐車場には宿泊施設「心・湯治館」があるほか、近くには「入之波温泉(しおのはおんせん」「上北山温泉」「小処温泉」といった温泉もあるので、日帰り温泉を楽しむのもおすすめです。
大台ヶ原の基本情報
住所:奈良県吉野郡上北山村大台ヶ原山
電話番号:07468-3-0312(大台ヶ原ビジターセンター)
大台ケ原へのアクセス:
・車利用は、大阪・奈良中心部から国道169号線を南下し、大台ヶ原ドライブウェイ(通行料金は無料。道幅が狭い場所もあり)に入り、大台ヶ原駐車場へ(冬季のドライブウェイは通行止め、駐車場は閉鎖)
・バス利用は、近鉄大和上市駅(近鉄吉野線)から奈良交通の路線バスで約110分(電車+バスの往復乗車券セット「大台ヶ原 探勝日帰りきっぷ」あり)
ご注意:
・春、夏休み、秋の紅葉時期など、観光シーズンや週末、連休は、大台ヶ原ドライブウェイや駐車場がたいへん混みあいます。公共交通機関のご利用がおすすめ
・熊よけ鈴を持参すると良いでしょう
・キャンプ、焚き火は禁止
・ごみは持ち帰り、自然保護に努めましょう
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