「1000年に1度」の大規模噴火
1万キロ離れたアラスカにも衝撃派
南太平洋の島国トンガ付近の海底火山で、2022年1月15日に大噴火が起こり、日本やアメリカなど太平洋沿岸の広範囲な地域にまで津波が押し寄せた。
噴火した トンガ 海底火山は、2021年12月ごろから活動が活発化していた。専門家は「1000年に1度」の大規模噴火との見方を示している。
噴火したのは、トンガの首都ヌクアロファの北方約65キロにあるフンガトンガ・フンガハアパイ火山。噴火の地響きが数分にわたり続き、火山灰や煙など噴煙が最大2万メートル(20キロ)近く、半径260キロにも広がった。噴火による衝撃波は、約1万キロ離れた米アラスカ州にも伝わった。
日本では、7300年前に鬼界カルデラ火山が大噴火
富士山、桜島の大噴火
気象衛星「ひまわり」による観測で、噴煙が高度およそ1万6000メートルまで達したトンガ大噴火だが、日本でも、この大噴火をはるかに凌ぐ「超巨大噴火」が起きている。
富士山の貞観噴火(864年)や、桜島大正噴火(1914年)では、2立方キロ近いマグマが噴出した。
さらに、過去12万年間に、マグマ噴出量が40立方キロ以上の「超巨大噴火」が10度も発生している。
直近では、7300年前の鬼界カルデラ火山(鹿児島県三島村)がある。高温の火砕流が海をこえて九州本島まで達し、南九州で暮らしていた縄文人を完全に破壊し、火山灰は東北地方にまで達した。
「超巨大噴火」が日本で起こればどうなるか。
10センチの火山灰で日本は壊滅状態に
超巨大噴火が九州中部で起きたと仮定すると、数百度の高温の火砕流が2時間以内に九州のほぼ全域を焼き尽くす。
関西では50センチ、首都圏は20センチ、そして東北地方でも10センチの火山灰が降り積もる。
10センチ超の火山灰が積もれば、インフラシステム(電気・水道・ガス・交通など)は全てストップする。日本人口、すべての1億2000万人の生活は破綻する。
「姶良カルデラ」の超巨大噴火
九州の旧石器時代人を絶滅
実は、九州では、超巨大を起こした火山が四つも集中している。そのひとつが、2万9000年前に鹿児島湾を作った姶良カルデラ(あいらカルデラ)噴火だ。
姶良カルデラ(あいらカルデラ)は、鹿児島湾北部(湾奥)を噴火口とするカルデラで、直径約20キロメートル。今も、火山活動を海中にボコボコと吹き出す、「たぎり」と呼ばれる噴気活動が見られる。
姶良カルデラの超巨大噴火で、火山灰が南九州で30メートル、高知県宿毛市で20メートル、京都で4 メートル、関東地方で10センチ、東北地方で数センチも積もったとされている。
この巨大噴火で、九州や中国地方の旧石器時代人は絶滅。生態系の回復と、人類の活動再開には、約1000年を要したと推定されている。
迫る南海トラフ巨大地震
発生確率「90%」に引き上げ
日本政府の地震調査委員会は2022年1月13日、南海トラフで今後40年以内にマグニチュード8~9級の地震が発生する確率を、前年の「80~90%」から「90%程度」に引き上げた。
南海トラフで一番危ない県は?
静岡県、和歌山県、高知県
内閣府は、南海トラフ巨大地震で、死者数が最も多いのは、1位が静岡県(約10万9000人)、2位が和歌山県(約8万人)、3位が高知県(約4万9000人)と試算。
4位以下は、三重県、宮崎県、徳島県、愛知県、大分県、愛媛県、大阪府、兵庫県、香川県、神奈川県、奈良県、千葉県、東京都、岡山県、鹿児島県、京都府と続いている。
今回のトンガ大噴火と、南海トラフ巨大地震との直接的な関連性はないが、不気味な兆候が日本に密かに忍び寄っている。
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